甘いペットは男と化す
 
そのあとは、いったん告白の話はやめて、世間話に。
もともと話し上手だし、盛り上げ上手の矢代さんとの時間は、お世辞抜きで楽しくて、あっという間に2時間が過ぎていた。

いくら週末でも、電車を逃すわけにもいかないので、今日はお開きに。


「北島さん、家どこ?」
「えっと、中野のほうです」
「了解。方面一緒だから、同じタクシーに乗って」
「あ………はい…」


一瞬ためらったけど、善意で言っているには変わらないと思ったので、一緒のタクシーに乗り込んだ。


べつに、彼の車に乗っているわけではないんだから大丈夫だよね。
変なこと考えたら失礼だし。


「大丈夫だよ。家に寄って行くなんて、言い出さないから」
「え?あ、はは……」


あたしの表情から読み取れたらしく、笑い交じりで矢代さんは隣で口にした。


「本当は寄っていきたいのはやまやまだけどね。
 でもいきなりすぐがっつきたくないし。今日は二人で飲みに行けただけで十分だから」

「……ありがとうございます…」


ここで、お礼を言うのはおかしかったのかもしれない。

だけど矢代さんは何も言わなくて、ただ笑っていた。


ケイとは違う、大人の人。
淳史よりも少し中性的で、優しい人。


もしも結婚を意識するなら、矢代さんみたいな人だと幸せになれるんだろうな……。


そんなことを思った。
 
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