甘いペットは男と化す
 
ケイの隣には、同じ会社の女子二人が並んで座っていて、突然現れた逆サイドの菅野ちゃんに、明らかに敵意を込めた視線を送っている。
だけどそんな視線に怯む菅野ちゃんじゃない。

女子二人になんか一切目もくれず、ケイにアタックをかけ始めた。


「初めまして。村雨です」


と、にこりと微笑むケイ。

え、何あの笑顔……。
思わず、遠くに座っているあたしが固まった。


あたしが知っている、じゃれついていた時の無邪気な笑顔でもなく、
人に意地悪するような嫌味ったらしい微笑でもない。


いうなれば、さわやかな笑顔。とでも言おう。


「あたし、ずっと村雨さんとお話ししたいと思ってたんですよー」
「そうなんですか?それは光栄です」
「あ、グラス空いてますねっ。次何飲まれます?」


女子力全開の菅野ちゃんは、隠すことなくケイに猛アピール。

だけどやっぱり、そこで黙っている向こうの女子ではない。


「景くん、ビール来たよ」
「ありがとうございます」


してやったりという笑みを向けて、ケイに新しいビールを渡していた。
 
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