甘いペットは男と化す
 
あーやだやだ。
絶対にあの輪には入りたくない。


横目でそんな四人の交戦を見ながら、あたしは自分の手元のハイボールを飲み干した。


「はい。新しいの」
「え?あ、ありがとうございます」


突然目の前に差し出された、いっぱいのハイボール。

顔を上げると、前には矢代さんが座っていた。


「ごめんね。こんな飲みにつき合わせちゃって」
「あ、いえ!タダ酒飲めると思って、得してますよ」
「ははっ」


気を遣ってくれる矢代さんには、嫌な気持ちでここにいることを悟られたくなくて、あえてそう返した。

そんなあたしの返しに、矢代さんも安心したような笑みを浮かべる。


「でも大丈夫なんですか?相手方の人とお話ししてこなくても」
「見ての通り、みんなもう出来上がってるからね」
「あ……」


確かに、辺りを見渡せば、結構お酒がまわってきているせいか、それぞれに固まって談笑している。


上司は上司同士と。
神崎さんは近藤さんと。
そしてケイは女性陣と。


「俺は早くここに来たかったの」


そう言って、矢代さんはにこりと笑った。
 
< 170 / 347 >

この作品をシェア

pagetop