甘いペットは男と化す
 
なんだろう……。
よく分からないけど……見えない火花を感じる……。

でも今のケイにとって、あたしはもうどうでもいい存在のはずだし。


「矢代、ちょっと!」
「ん?」


離れた席から、神崎さんと近藤さんが矢代さんを呼んだ。


「ちょっと聞きたいことあるんだけど」
「……はいはい。そっち行く」


矢代さんは、一瞬ためらったあと、「またね」と一言言ってそっちのテーブルへと移ってしまった。


必然的に、あたしとケイは二人きりになってしまって……


「アンタ、意外とモテるんだね」


周りには聞こえないほどの小さい声。
さっきまでのニコニコ笑顔はどこへいった……。


「うるさい、二重人格」
「世渡り上手って言ってくれる?」


どうやら、口まで達者だ。

前はあんなに可愛かった言葉も、今は欠片もないほど憎まれ口ばかり。


「向こう、戻ったら?
 いい加減、女子の目が痛いんだけど」

「やだ。あいつらうるせーし」

「みんなあなたのことが好きなだけだよ」

「それがウゼーの」


だったら、その本性、あの子らに見せてこい。
そうすれば、誰も寄ってこないって。


心の中でそうつぶやいて、深いため息をついた。
 
< 174 / 347 >

この作品をシェア

pagetop