甘いペットは男と化す
なんだろう……。
よく分からないけど……見えない火花を感じる……。
でも今のケイにとって、あたしはもうどうでもいい存在のはずだし。
「矢代、ちょっと!」
「ん?」
離れた席から、神崎さんと近藤さんが矢代さんを呼んだ。
「ちょっと聞きたいことあるんだけど」
「……はいはい。そっち行く」
矢代さんは、一瞬ためらったあと、「またね」と一言言ってそっちのテーブルへと移ってしまった。
必然的に、あたしとケイは二人きりになってしまって……
「アンタ、意外とモテるんだね」
周りには聞こえないほどの小さい声。
さっきまでのニコニコ笑顔はどこへいった……。
「うるさい、二重人格」
「世渡り上手って言ってくれる?」
どうやら、口まで達者だ。
前はあんなに可愛かった言葉も、今は欠片もないほど憎まれ口ばかり。
「向こう、戻ったら?
いい加減、女子の目が痛いんだけど」
「やだ。あいつらうるせーし」
「みんなあなたのことが好きなだけだよ」
「それがウゼーの」
だったら、その本性、あの子らに見せてこい。
そうすれば、誰も寄ってこないって。
心の中でそうつぶやいて、深いため息をついた。