甘いペットは男と化す
「え?」
と、顔を上げると、そこにはさっきまで女性陣に囲まれていたはずのケイの姿が。
ケイは涼しい顔をしながら、さっさとあたしの隣に座ってしまった。
「あ、の……」
「向こうの席、行くの大変そうだから」
「あ……」
どうやら、トイレから戻ってきたらしく
言われて、さっきケイがいた方向を見ると、通り道には出来上がった上司が道をふさぐように座っていて、散らばった荷物や上着も通行妨害。
いくら個室の座椅子タイプだからといって、これはひどいな……。
いや、でも……
さらに奥にいる女性陣の目のほうがこわいんですけど……。
「……村雨君、何飲む?ビールで良ければ、まだ手をつけてないのがあるよ」
「すみません。じゃあ、それをお願いします」
さすが大人……。
矢代さんは嫌な顔一切せずに、自分が飲もうとしていたビールをケイに渡した。
「やっぱり付き合ってるんですか?お二人」
「え?」
ビールを受け取ったケイは、あろうことかまたそんな質問を矢代さんに向けている。
矢代さんは笑みを崩さずに、
「いや。でも落とし中」
と一言返した。