甘いペットは男と化す
「先輩はこの後、どうするんですか?
あたしは当然、帰るつもりですけど」
「そうだねぇ……」
そりゃ、あたしだって帰りたい。
けど、次の店へ行く気満々の上司たちに、すでに帰った女性陣。
あたしまで帰っても大丈夫なのだろうか。
ちらっとケイを見てみると、ケイはその上司にすでに確保されているようで、次の店へ行くみたい。
さっきまで、ずっと手を握っていたことが嘘のようだ。
「あたしは……」
「北島さん、帰る?なら、一緒にタクシー乗っていこうか」
「え?」
背後から突然の誘い。
振り返ってみると、矢代さんが立っていた。
「……あ!あたし、もうそこにお迎えが来てくれたんでした!
じゃあ、先に帰りますね!朱里先輩!」
「え、ちょっと!」
何かを察したのか、菅野ちゃんは突然声を上げるとそそくさと退散。
絶対に、あたしと矢代さんのこと、誤解してるし……。
「それとも残ってる?
北島さんが残るんなら、俺も残るよ」
「あ……じゃあ…帰り、ます……」
どっちにしたって、あたしの隣には矢代さんがいるようだ。
それなら、面倒なことは増やさずに、ただ帰るだけの選択肢を選ぶことにした。