甘いペットは男と化す
 
「え…っと……」


その言葉に、なんて答えたらいいのか分からなくて、ただうろたえてしまう。

矢代さんもハッとすると、


「もちろん、深い意味とかではないから!
 二人で飲み直そうっていう意味。あ、家が嫌なら、どこか別の飲み屋でもいいし」


あたしの反応を見て、マズイと思ったように早口で言い訳をしている。


さすがにまだ付き合ってもないのに、家に呼ぶのはどうかと思う。
もし何かあったとしても、自分に非があることになるし。

だけど店とかなら……。



「じゃあ、俺が先に乗り込むから。
 行き先は北島さんが決めていいよ。分からなかったら、隣駅でいいバーを知ってるから、そこに案内するし」

「……は、い…」


ちょうどタクシーが来て、手を挙げた矢代さんの前に停まった。


矢代さんは先に乗り込み、あたしが乗るのを待つ。

あたしを乗車口にしたのは、自分がどこで降りても大丈夫なようにしているということ。


あたしが決めなくちゃいけない。
これから彼とどうするかを……。





「すみません。
 彼女なら、俺が送って行くから大丈夫です」





一歩踏み出したあたしを制して、
後ろから誰かがドアに手をかけた。
 
< 181 / 347 >

この作品をシェア

pagetop