甘いペットは男と化す
「え?」
「彼だけを連れて行ってください」
「あ、おいっ……」
自動で閉まるのに、後ろから伸びた手は、バンとドアを押してドアを閉めてしまった。
タクシーの中では、慌てたように窓からあたしたちを見ている矢代さんがいて……
「ほら、行くよ」
「ぁっ……」
まるであたしに拒否権なんかないように、彼はあたしの腕を引いた。
「ケイっ……」
「何、ほいほいついていってんの?」
人を尻軽女のような言い回しに、さすがにカチンときた。
「べ、つにあなたには関係ないでしょ?
それにあたしはちゃんと矢代さんのことっ……」
「好きになろうと努力している時点で、好きになれないってことだよ」
「なっ……」
「本当に好きになれる人なら、努力なんて必要ないでしょ」
「……」
ケイの言っていることは正論すぎて、何も言い返すことが出来なかった。