甘いペットは男と化す
 
「え?」


オートロックが解除されるのと同時に、背後から聞こえた言葉。

意味が分からなくて振り返ると、ケイはドアから一歩離れた場所で突っ立ったまま。


「もし、俺を家にあげるんだったら、俺は間違いなくアカリを抱く」

「なっ……」

「けど、べつにそれは、恋人とか好きだからっていう意味じゃない。
 男と女だから。欲望のままに抱くだけ」


最低な言葉。

よくもそんな言葉を、堂々と言えたものだ。


「もしもそれが嫌なら、一人でエレベーターに乗り込んで。
 俺は、この自動ドアが閉まるのと同時に、この場から立ち去るから」

「そんなの……当たり前の答えじゃない……」


そんな選択肢なら、当然のように一人でエレベーターに乗り込むでしょ。

愛もない、欲望だけの意味で抱かれるなんて、誰がそんな選択肢を選ぶのだろうか。


いくらあたしが、昔のケイが好きだったとしても
それは当然過去にしか過ぎない。



「もうアカリにはプライベートで一切構わない。
 俺とアカリは本当に赤の他人。過去にも出逢わなかった人。そうする。

 鍵も……今返す」



そう言って、ケイは一歩踏み出すと、あたしの手を取って合鍵を握らせた。


確かに返された。
あたしとケイを、唯一繋ぐアイテム。
 
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