甘いペットは男と化す
ケイは次に来たタクシーを捕まえると、強引にあたしの腕を引きずり込んでマンションの名前を告げた。
それはあたしのマンションで、もはや彼のしたいことが分からない。
無言のまま、タクシーは進み、
頭の中が混乱している。
思いきり跳ね除けたいし、罵りたいのに
どこかでケイが自分を引き留めてくれたことを嬉しいと感じてしまっている自分がいて、何も言い返せない。
「……」
再びあたしの左手は、一回り大きいケイの右手に包み込まれていて
その温もりがどうしようもないほど熱く感じた。
「ありがとうございました」
マンションにはあっという間に着いて、当たり前のように降りてくるケイ。
ここはあたしの家。
だから自分が帰るのはいい。
けど……
彼をどうすればいいわけ?
拒んでも、このまま強引に部屋に入ってくるのだろうか。
そういえば、結局合鍵も返してもらってない。
ってことは、あたしに選択肢は当然ないわけで……。
心の中で、はぁ……と深いため息をついて、オートロックの番号を押した。
「ここからは、アカリが決めて」