甘いペットは男と化す
あの時のケイと重ねてみても、やっぱりその姿は別人に見える。
あたしの貸した、レディースもののスウェットじゃない。
スーツのズボンにワイシャツ姿は、大人の男の色気もにじみ出ている。
満面の笑みで抱き着いていたその顔は
含み笑いの、ほんの少しだけ口角をあげた微笑。
どう見たって別人。
あたしのことなんて覚えているようには見えない。
だけど……
「どうして……
あたしの名前を知っていたの……?」
あたしは、ソファーに座るケイの前に立ち尽くして
頭の中で浮かんでいた疑問を投げつけた。
「は?」
ケイは何のことを言っているのかと首をかしげるばかりで、あたしを不思議そうに見上げている。
言葉足らずなことに気づいて、もう一度彼に言葉をぶつけた。
「あたしはケイに、自分の名前を言ったことない。
それなのにどうして、あたしがアカリという名前だって知っていたの?」
「……」
その言葉に、ケイもようやく目を見開いた。