甘いペットは男と化す
店を出たところで、ケイの居場所なんて分からない。
だけどなんとなく、予感していた。
彼は今日も、あたしの部屋で待ち伏せしていると……。
「……はぁっ…」
息を整えながら、オートロックの番号を押して、エレベーターに乗り込んだ。
いつもの205号室。
鍵を差し込むことなく、ドアノブに手をかけると、
「……」
予想していた通り、それは何の抵抗もなく開いた。
玄関には、見慣れてしまった茶色の革靴。
他はすべて女物のパンプスなのに、それだけ異質に置かれている。
ドアが開く音がしても、昔のように駆け足で現れる気配はなくて、
それでも頭の中で思い浮かんでいる憶測が、鼓動を速まらせた。
パンプスを脱ぎ捨てて、リビングへ続くドアを開けると、
「おかえり」
そこには、当たり前のようにソファーへと座っているケイの姿があった。