甘いペットは男と化す
「アカリのことなんて……
忘れていたかった」
「ケイ……。
じゃあ……」
「覚えてるよ。本当は全部……。
アカリに拾われたことも……この家で過ごしたことも……」
顔を上げたケイの瞳は、いつの間にか過去に出逢ったときのような穢れのない瞳へと変わっていた。
だけどそれは、悲しみに満ち溢れていて
無邪気とは言い難い寂しげな瞳。
「それか記憶なんか、失わなければよかった。
そうすれば……」
「…っ」
グイと引き寄せられた腕。
あたしの体は、ソファーに座り込んでいるケイへと引き寄せられ、そのまま抱きしめられた。
「アカリを好きになんかならずに済んだのに……」
耳元で聞こえた告白は
今まで聞いたどんな告白よりも、
悲しく……
寂しい声だった。