甘いペットは男と化す
「お騒がせしてしまって申し訳ありません。すぐにお取引いただきますので……」
「社……ケイのお父さん!!お話があります」
受付嬢の言葉を遮って、キッと村雨社長を睨む。
村雨社長は目を細めると、面白そうに口角をあげ……
「いいだろう。ちょうど今、時間が空いたところだ。通してやれ」
「かしこまりました」
頭を下げた受付嬢。
そしてその前には、不審な目であたしを見つめる年配の人。おそらく、役員とかそういった役職の人だろう。
あたしは横目でその人たちを見やると、先へ進む村雨社長のあとをついていった。
「まさか、直々に会いにくるとはな」
ふん、と鼻で笑いを添えそうなほど、嫌味ったらしい笑みを浮かべる村雨社長。
確かにこう見ると、再会したときに感じた、ケイの嫌味な微笑に少し似ている。
目元とかもそっくりかも。
「どういうつもりですか?」
だけど怖気づくことなく、社長椅子に座る村雨社長に詰め寄った。