甘いペットは男と化す
 
「なんでっ……」

「それを、ケイが望んでないからだよ。
 ケイは本当に、そんなんでいいと思ってるの?」

「……」

「本当は今の仕事好きなんでしょ?中途半端だって言われて、悔しかったんでしょ?
 それなのに、そんなこと言われたまま、逃げ出していいの?」


あたしの言葉に、ケイはバツが悪そうに顔を逸らし、唇を噛んでいる。

あたしだって、今弱っているケイに、こんなこと言いたくない。
だけどだからこそ、ちゃんと立ち向かってほしいから……。


「あたしはいつでも真っ直ぐにぶつかってくるケイが好き。
 自分の言ったことに責任とって、最後まで強気でいきなよ」


逃げることは簡単。

だけど逃げたら、一生後悔がついてくる。

あの時、ああしてたら……べつの人生があったのかな……と。


「あたしはちゃんと、ケイのお父さんに認めてもらいたいよ?
 だってケイを育ててくれた人だもん。
 身分や立場はどうしようもないけど……それ以外は強い女でありたい。
 頑張って頑張って頑張り続けて……それでもダメなら、強行突破しちゃうかもだけど」

「……アカリ…」


最後、笑って冗談っぽく言うあたしに、ケイはようやく目を合わせて頬を緩めた。
 
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