甘いペットは男と化す
「え……?」
「どこでもいい。田舎でも。
二人だけしか知らない場所に……」
それはお父さんの目が、届かない場所ということ。
邪魔をされたくない。
誰にも文句を言われたくない。
「安月給なところに勤めてさ……。
贅沢とかできないかもしれないけど、二人だけで……」
「……そのうち、子どもができちゃったりしてね」
「じゃあ、その前に籍もいれておこう。
べつに20歳超えてんだから、親の承諾いらねぇし」
「保証人は、近所のおばちゃんとかにお願いしちゃったりして」
「田舎暮らしだと、近所づきあいとか深そうだな。村雨さん、お醤油貸して!なんてさ」
「煮物作りすぎちゃったの、とかね」
そんなくだらないことを妄想して、二人で笑った。
それもいいかもしれない。
べつにあたしたちは、親の助けを必要とする子供なんかじゃない。
あたしの両親には一応話して、行き先くらいは伝えるけど、遠く離れた場所へ……。
ケイのお父さんから……
ケイの会社から離れた……二人で始める生活……。
でも……
「それは嫌」
あたしは笑って、一言答えた。