甘いペットは男と化す
 









「あのね、引っ越そうと思うの」

「は?」


ベッドの中、衣類を身に着けないままケイに寄り添う。

突然の発言に、ケイは驚いた顔をしていた。


「なんで?」
「だってこの部屋……嫌なんだもん」
「……」


その発言に、ケイは言葉をつぐんだ。

ずっと避けていた現実。
聞きたくて聞けなかった質問。



「ここ……

 ケイと相内先生が一緒に暮らしていた部屋なんでしょ?」



忘れかけていたケイとの出逢い。


それは……
記憶を失っていたはずのケイが、この部屋に訪れていたことだった。
 
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