甘いペットは男と化す
 
ケイは何も答えなくて、それが肯定なんだと受け取った。

あたしはケイを見て微笑むと、その目を天井へと向けた。


「ケイが相内先生に未練があるとか、そんなふうに思ってんじゃないよ。
 ただあたしが……やっぱり嫌なだけ」

「……うん…」


こんなふうに思うのは、あたしが器の小さい女なのだろうか……。

同じ部屋だと言っても、きっとインテリアや部屋の配置はまるで違うと思う。
中に入ってしまえば、彼女を思い出す品なんて何もないかもしれない。

けど、自分が考えてしまう。


この部屋で……
ケイと相内先生は同じ時間を共にし
共に笑い、泣いて、喜んで……

愛し合ったということ。



「だから、さ……
 新しい仕事とか決まって、時間とお金に余裕が出来たら……引っ越すね」

「うん……」



そのことに、ケイは何も言ってこなかった。


ケイだって辛いはずだから……。
過去の人と、今の人と……同じ空間で過ごすのは……。



「そのときは、さ……」



少しの沈黙が流れたあと、ケイは一言ぼやいた。
 
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