甘いペットは男と化す
 
だけどそんなのは、本当に子どもの考えで……
自分がこの家に生まれてきた以上、覚悟を決めないといけないんだ。


悔しいけど、親父は嫌でも仕事は好きで……
この会社を自分の手で大きくできたら…と思ってしまう自分もいる。

そう思っている以上、俺はきっとこの会社を……親父を捨てきれない。


だから今やるべきことは
親父にアカリとのことを認めてもらうことなんだ。




「……あの時の女とは違うってことか」




親父からつぶやかれた一言。

あの時の女、というのは、きっと沙樹のこと。

沙樹とアカリは全然違う。
年こそは対して変わらないけど、感性も信念も生き方もまるで別物だ。


だからこそ、沙樹のときの二の舞にはさせたくない。

いつかアカリという女が、いかにイイ女だということを見せつけるために……



「じゃあ、営業行ってくる」



俺は、親父へと背を向けた。
 
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