甘いペットは男と化す
「……Do you have any questions?(何か質問はありますか?)」
少し前まで、ほとんど英語の知識がなかったあたし。
だけどこの人を見返したい……
いや、この人に認めてもらいたい。
その一心で、あたしは秘書として必要な英語も必死になって習得した。
突然、英語を発したあたしに、社長も人事も目を丸くしてあたしを見ている。
「I am an average and ordinary family.But!I can get a lot of knowlege.
I can support him by work.
(あたしは家柄は普通です。だけど知識をつけることはできる!仕事で彼を支えられる)」
どんなに頑張ったって、あたし自身が会社をおこしたりしない限り、大きな経済力での力をつけることはできない。
だけどあたしとケイが望んでいるのは、そんなことじゃない。
ただ……
「I want you to recognize me.(あたしはあなたに認めてもらいたいんです)」
こういった形でも、支える形はあるんだと……。
「会社を大きくするのに、息子さんの相手の家が必要ですか?
あなたは自分の力で、この会社をここまで大きくしたんじゃないんですか?
それならケイだって……自分の力でもっと会社を大きくできるって……自分の息子のこと、信じてあげてもいいじゃないですかっ……」
「……」
自社ビルをもち、一部上場の企業にするのに、どれだけの労力を使い、信頼を担ってきただろうか……。
もしもこの人が、嫌味な人なだけであったら、絶対にここまで大きくはなれなかったはずだ。