甘いペットは男と化す
「私はここの秘書として、この会社を動かす人のサポートをしたいです。
それが私にできることだと思ったから……。
だから……私を認めてくださいっ」
文句をいっぱい言ってやりたいと思っていた。
こんな人、認めてもらわなくたって、ケイと二人で生きていきたいと思ったこともあった。
だけどそれは、ただの逃げだから……。
諦めにしか過ぎないから……。
投げ出すのなら、自分が出来ることをすべてやりつくしてから投げ出そう。
「…………本当に、君には驚かされてばかりだ……」
沈黙が続いたあと、静かな声で一言吐かれた。
人事の人は何も言えず、一歩下がってあたしたちを見ている。
「景が変わったのも、君と出逢ったからだとは分かってはいたが……それを認めるのが嫌だった」
「え……?」
「君を採用しよう。
………名古屋の支社長となる景の秘書として」
「っ……ありがとうございますっ……!!」
思いがけない社長の言葉に、涙ぐみながら頭を下げた。