甘いペットは男と化す
 
「お前には、4月から名古屋の支社長をやってもらう。今度は拒否なんかさせないぞ」
「……アカリは秘書として連れてっていいわけ?」
「私情を挟んだら、すぐに支社を変える。それを胸にいれておけ」
「はいはい」


まだ、入社手続きすらしていないのに、話がどんどんと進められている。

4月……
時間はまだ半年以上ある。


「君もうかうかしていられないぞ。
 社長秘書をやる前に、秘書としての教養をきっちりと身に着けてもらうからな」

「っはい!」


話を自分に切り替えられ、今返せるだけの誠意を見せて頷いた。


秘書の資格を身につけたといっても、あたしはまだまだ未経験者。
そんないきなり、支社長という立場の秘書をやれるわけない。

きっとこれから、研修期間が入り、本社での別の誰かの秘書をすることになるんだ。



「全力で務めさせていただきます。

 よろしくお願いいたします」



そしてケイが名古屋へうつるとき、自分もともに行けるように……。
 
 
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