甘いペットは男と化す
「景……」
相内先生は、微笑みを真剣な表情へと切り替え、ケイを見つめた。
その瞳は、女のあたしでも見惚れるほど綺麗で……
髪の毛が短いからこそ、多少ボーイッシュに見えるけど、長かったらどんなに綺麗なんだろう…とさえ思った。
「私……景のこと、本当に好きだったよ」
思いがけない告白に、胸がツキンと痛くなった。
「お金を受け取ったのは、景が私を恨めばいいと思ったから。
そうすれば景は私を忘れ、前向きに生きていけるって……。だから本当は、お金もあのあとお父さんに返してたの。
でもダメだね。私のほうがずっと引きずってたみたい」
「……」
「きっと私、今でも景のことが好き」
信じているけど、襲い掛かる不安。
揺れることがないと分かっているからこそ、ケイはあたしをこの場にとどめさせている。
でも……正直逃げ出したい。
ケイの顔も、相内先生の顔も見れなくなって、
あたしはただ、下へと俯いた。
ああ、どうしよう……。
不安で胸が押しつぶされそうだ。
「………俺も…」
走る沈黙の中、ケイが口を開いた。