甘いペットは男と化す
 
「あ、ごめんっ……」


慌てて、背中を向けて、カーテンを閉めた。

まさか、泣いているなんて思ってもいなくて、無神経なことをしてしまったことに気づく。


このまま寝てしまおうかと思い、一歩部屋へ踏み出すと、



「アカリ」



それをケイに呼び止められた。


ベランダから部屋に入ってきたケイは、後ろ手で窓をしめた。
あたしはまだ振り向けなくて、なんて言おうか頭の中で考え中。

だけどそんなあたしを、ケイは引き寄せると、



「ちょ……」

「ごめん。しばらく、このままでいさせて」



ケイは包み込むように、あたしを後ろから抱きしめた。
 
< 36 / 347 >

この作品をシェア

pagetop