甘いペットは男と化す
 
「ケイ!どうしたの!?ケイっ!!」

「っ……はぁっ……」


小刻みに震える肩。

この寒さなのに、滲み出ている汗。

いったい何が……


「ケイ!!」


震えるケイの体をなんとかしたくて、うずくまるその小さな体を強く抱きしめた。


「ケイ!しっかりして。
 あたしが傍にいるから」

「…っ……」


震えている肩は、だんだんと小さくなり、乱れた呼吸も落ち着いていく。


「ア…カリ……?」
「そうだよ。朱里だよ」
「そ、っか……。よかった」


ケイの瞳の焦点が合わさり、あたしの返事を聞くと、そっとあたしの背中に腕を回した。


「ごめん……。
 しばらくこうしてていい……?」

「うん……」


回された腕は、強くあたしを抱きしめて
耳元からは、かすれる声で「アカリ」と呼ぶ声が聞こえた。



どうしてケイが、突然こんなふうになったのかなんて、全然分からなかった。

だけど

震える儚いケイの姿を見たら
あたしが彼の傍にいなくちゃ……と本能で思った。



母性か恋心か、そんなの分からなかったけど
今はあたしが、彼にとっての唯一の支えであるから……。
 
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