甘いペットは男と化す
 
「それはそうと、あなた、誰か待ってたの?」


つい、彼のペースに飲まれてしまいそうだったけど、ハッとして質問を投げかけた。

その質問に、彼はなおも微笑むと、


「ケイ」
「え?」

「俺の名前は景だよ」


勝手に自己紹介を始めていた。


「あ、うん……」
「君の名前は?」
「朱里……。北島朱里」
「アカリね。よろしく」
「よろしく」


にこにこと微笑む彼、ケイについこっちもにこりと微笑み返す。


って、そうじゃない!!


「だからっ……」

「アカリ」

「え?」




「しばらく、ここに住ませて」




ケイは、突拍子のないことを言いだした。
 
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