甘いペットは男と化す
「はあ!?」
あまりにも普通に言うものだから「うん、いいよ」なんて答えてしまいたくなったのは事実。
だけどなんとか流されないよう堪えて、一言驚きの声で返した。
「いやいや、無理だよ!
いきなり見ず知らずの男なんてっ……」
いくら、可愛い男の子と言っても、多分見た目からしてあたしと数個くらいしか変わらない。
20歳過ぎといったところだ。
「見ず知らずじゃないでしょ。
今、お互いに自己紹介したじゃん」
「自己紹介って……。
名前しか言ってないし」
「十分だよ」
「十分じゃありません!
年は?家は?何してる人?とかさっ」
「知らない」
「は?」
「だから知らないんだ」
そう一言言ったケイの顔は
真っ直ぐで、嘘偽りのないといった表情だった。