穏やかと癒し・・・ときどき、あい・・・
「なるほどね。咲希はその人が言ったことを全部信じたんだ」

と、話を終えた私に少し呆れたようにお兄ちゃんが言う。

「信じた。だって、ドイツから戻ってきた時もって言われて、一緒にいる時に電話があって、3時間で戻ってくるって言ったのに戻って来なかった・・・」

泣き出してしまった。

「一緒にいたって優しかったって言われて・・・」

「よしよし」

と、お兄ちゃんは肩を抱いてくれた。

「で、君の反論は?」

黙ったままの孝徳に聞いた。

「嘘です。電話を掛けてきたのは佐伯亮って言う男です。ドイツから一時帰国したから連絡をくれました。亮と話すと勉強になるって言うか話を聞きたくなるので、咲希が家に来ていたけど、3時間で戻ると家を出ました。指定された居酒屋に行くと亮の他に二人と水沢がいたのは確かです。俺は水沢をさわって呼んでないし、水沢も 俺をはやとは呼んでない。 水沢は亮と同じ会社だから、呼ばれたのかって思った程度で特に個人的に話したりしてません。付き合っていたなんてそんなこともありません。」

孝徳は説明してくれる。

「話に夢中になって気づいたら2時だったので、誰も帰らなかったから、みんなもいたけど、水沢も一緒だったのは一緒でした」

「なるほどね。それで君はどうするの?」

「えっ?」

「もしかして、彼女の言ったことは嘘だね。って納得すると思ってる?」

お兄ちゃんはそう言うとソファーにもたれていた身体をおこし、前屈みになり手を組むと、とても低い声で言った。





< 150 / 181 >

この作品をシェア

pagetop