穏やかと癒し・・・ときどき、あい・・・
「もう一度聞く。今の誰?」

マンションの出入り口で壁にもたれ、腕組みしている孝徳。

「前の会社の人。飲み会の後にカフェで昔話に花を咲かせちゃった」

私は今の状況を上手く理解出来ていなかった。

「5分待ってる。俺の家に行く用意して来て」

「孝徳・・・」

「ここで声を荒げたくない。早く」

「ちょっと待ってて」

私は部屋で二日分の用意をして、すぐに下に降りた。

降りると何も言わずに孝徳は歩いていく。

いつもより早い・・・

私は早歩きで孝徳についていく。

言えないけど、孝徳、ちょっと待って。

終電が終わった夜中。

孝徳に声を掛けることは出来ない。

ふと、孝徳が立ち止まって振り返った。

私が隣にたどり着くまで待っていてくれた。

そして、ボストンを持ってくれる。

「ありがとう」

孝徳は何も言わない。

孝徳のマンションに到着して、玄関に入る。

入った瞬間、孝徳は私の腕を持ち、私の背を壁につけた。
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