俺様生徒会長に鳴かされて。
「もしかして、寝付けなかったの?」


「はい…。なんだか緊張しちゃって…。

朝日がすごく綺麗だったから、それでちょっとお散歩に出てきたんですけど…雪矢さんも?」


「そ。俺もなんだか…

君を逃したのが惜しくて、寝付けなくて…」


「え…」


「ふふ、冗談。

俺はだいたいこの時間に起きて、外でカフェラテを飲むが日課なんだ

こうして明るくなる湖をぼーっと見ていると、ふと曲が浮かんだりしてね、好きなんだ。



と、こくり、とマグカップに口を付ける雪矢さん。



湯気をまとう横顔は絵に描いたように綺麗で、

茶色の前髪からのぞく長いまつ毛に、思わず見惚れてしまう…。



「失敗したなぁ。君がいるってわかってたら君の分も淹れてきたんだけど…。

俺の淹れるコーヒー、けっこう美味いって言ってもらえるんだよね。

飲む?」


「い、いえ…!」



そんな…。

間接キスになっちゃうよ…!



「そう。じゃ、近い内、ご馳走してあげるね。

君とこうしてふたりきりになれる時って、これからけっこうありそうだし…。

その点は、彪斗に感謝、かな?

うれしいよ。君とひとつ屋根の下で暮らせるなんて…」






どきん…





甘い胸のうずきに戸惑うわたしをよそに、雪矢さんは明るくなり始める湖を見つめたまま続ける。
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