俺様生徒会長に鳴かされて。



「…どうして…?」





「…雪矢に、さんざん言われただろ」





『すげー、可愛い』





吐息まじりの、甘い声。



雪矢さんの言葉がよみがえった。



どきん、って胸が跳ねる…。





けど、それ以上に…





彪斗くんも、そう思ってくれてるってこと…?





そう意識した瞬間、

胸が痛いくらい高鳴り始めた…。





「おまえは俺のものだ…。

俺だけのものだから…」





何度も聞く、所有をしめす言葉。



けど不思議。

だって今は、



『俺のものになれよ…』



って請われてる気がするから…。



どうして?



さっきと言い方がちがうよ…?



いつもの威張りっぷりはどうしてしまったの…?





どうしてふたりっきりの時は、思いつめたように言うの…?





じっと見つめると、彪斗くんは急に顔を赤らめて、

気まずそうに目をそらした。





「しまっておかないと、安心できねぇんだよ。

ちょっと目を離したら盗られちまいそうで、どこかに飛んでいっちまいそうで…。

『もの』って所有しないと…ふあ」





言いかけて、彪斗くんは口ごもった。



「―――くそなんだよ、

調子狂う…」





胸が苦しい。



雪矢さんに言われた時とはぜんぜんちがう、眩暈がするような、くるおしい痛みに、わたしは息するのも苦しくなる。



これは、なに…?



どうして彪斗くんにだけ、こんな気持ちになるの…?
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