俺様生徒会長に鳴かされて。
「ついたぞ優羽」



そうして歩いていたら、『ふれあい広場』って書かれている小さな門の前に来た。



小動物に直接さわれたり、エサをあげたりできるところみたいで、門をくぐった早々、たくさんのウサギたちがわたしたちを出迎えてくれた。



真っ白な子や、耳の垂れた子、うたた寝している子、もりもりエサをもらっている子。



どの子も愛くるしくて、沈んでいた気持ちも吹き飛んでしまう。





思う存分ふれあった後は、彪斗くんと広場の奥まで言って、小高い丘を登った。



丘の上は空と湖とそれを囲う豊かな森を一望できるスポットで、野鳥を観察できることでも有名の場所らしい。



「この地域は野鳥たちが好きなエサが豊富で、かつ天敵も少ないんですね。

ですので彼らの楽園と言われています」



飼育員さんが、何組かの家族連れを相手にして話していた。



へぇそうなんだ。



ここはずいぶん小鳥たちが多いな、って思ってたけど、そういうわけなのか。



こんなきれいな所にすめて、エサも豊富でこわい敵もいないなんて、しあわせな子たちだなぁ。



「ちちちちち」



よかったね。



って、囁くようにさえずると、耳の良い子がひとり、空からわたしの指へと降りてきてくれた。





「わぁ、おねえちゃんすごーい…」





すると、そばにいた小さな女の子が感心しきった声をあげた。
< 200 / 269 >

この作品をシェア

pagetop