俺様生徒会長に鳴かされて。



「ね、おねーちゃんもっかいやって!」


「ん…?

来てくれるかわからないよ…?」


「ねーやってやって!」




女の子のキラキラした瞳に負けて、わたしはもう一度さえずってみた。



すると、一羽、二羽、降りて、柵にとまった。

ここの子たちは、ほんとに人懐っこいなぁ。



「へぇ、すごいですねぇ!

野鳥を呼び寄せてしまうなんて。

なにか訓練でも受けているんですか?」



飼育員さんも興味津々で話し掛けてきた。



「いえ…。

ただちょっと小さい頃から得意で」


「はぁ。

じゃあきっと、あなたの声に特質があるからですね。

よく言われてますけど、世界的に有名な歌手には、小鳥の鳴声と同じ波長の声を持つ人がいるそうですよ。

だから歌うと、仲間と思い込んで鳥たちが呼応するようにさえずったりするんだそうです。

でもこうして野生の鳥が近寄ってくるってまでは、聞いたことが無いですね。

きっと、あなたがそれだけ安心させる雰囲気をはなっている、ということですよ」


「ふぅん。

つまりお前は小動物と同レベルに見られてるってことか。

おまえもここで飼ってもらったほうがいいんじゃないのか?」



もう彪斗くんは!

またイジワル言って!



膨れつらでにらむと、彪斗くんはイタズラっ子みたいな笑みを浮かべた。



「こいつのこの得意技、こんなもんじゃないっすよ。

その気になれば、映画みたいなシーン、見せれますよ」



「あ…彪斗くんっ…!」



なんてことを言うの?
< 201 / 269 >

この作品をシェア

pagetop