俺様生徒会長に鳴かされて。
家族連れやカップル。
広場中の人が集まってるんじゃない、すごい人の数。
その中には、さっきのおねーさん方もいて、びっくりしたようにわたしを見ている。
そして、飛び交う無数の小鳥たち。
歌い続けるわたしに続くように、さえずっている。
やっぱり、ここの子はやさしい子ばかり。
みんなわたしのために集まってくれたんだね。
みんな、
わたしを見ている。
そう考えたら、ゾクリゾクリと胸がくすぐったくなる。
緊張に似ているけど、こわいとは、ちっと思わない。
むしろ、
もっともっと、歌っていたい。
って、身体中が熱くなっていく…。
この不思議な心地は、なに?
けど、不意にいやな気持が沸き起こった。
夢でも見ているかのように茫然としている人々が、
はっとしたように、カメラやスマホを掲げはじめた。
映される?
みんな、わたしなんか撮って、どうするつもりなの…。
「すみませーん」
不意に、わたしを隠すように人影が立った。
「勝手に撮んないでもらえます?
このコ別に歌手でもなんでもないんで、肖像権のなんたらです、
てか、俺のもんなんで」
彪斗くん…。
ちら、と首を傾けると、
「逃げるぞ、優羽」
小さく彪斗くんが言った。
「やっと思い出した!
『あやちゃん』!!!
元子役で作曲家でモデルの、惣領彪斗だっ!!きゃー!!」
その時急に、さっきのおねーさんが大声を上げた。
「え、あの『あやちゃん』?うっそ、ちょーかっこいい!」
「惣領彪斗って、今すごい売れっ子作曲家の『A』でしょ?前雑誌で見たことある」
わーわー
みんな口々に叫んで大騒ぎだ。
小鳥たちもみんな逃げてしまったよ…。
みんな、ごめんね…。