俺様生徒会長に鳴かされて。



家族連れやカップル。

広場中の人が集まってるんじゃない、すごい人の数。

その中には、さっきのおねーさん方もいて、びっくりしたようにわたしを見ている。



そして、飛び交う無数の小鳥たち。

歌い続けるわたしに続くように、さえずっている。



やっぱり、ここの子はやさしい子ばかり。

みんなわたしのために集まってくれたんだね。





みんな、

わたしを見ている。





そう考えたら、ゾクリゾクリと胸がくすぐったくなる。



緊張に似ているけど、こわいとは、ちっと思わない。



むしろ、



もっともっと、歌っていたい。



って、身体中が熱くなっていく…。





この不思議な心地は、なに?





けど、不意にいやな気持が沸き起こった。



夢でも見ているかのように茫然としている人々が、

はっとしたように、カメラやスマホを掲げはじめた。



映される?

みんな、わたしなんか撮って、どうするつもりなの…。





「すみませーん」




不意に、わたしを隠すように人影が立った。



「勝手に撮んないでもらえます?

このコ別に歌手でもなんでもないんで、肖像権のなんたらです、

てか、俺のもんなんで」





彪斗くん…。





ちら、と首を傾けると、



「逃げるぞ、優羽」



小さく彪斗くんが言った。





「やっと思い出した!

『あやちゃん』!!!

元子役で作曲家でモデルの、惣領彪斗だっ!!きゃー!!」





その時急に、さっきのおねーさんが大声を上げた。



「え、あの『あやちゃん』?うっそ、ちょーかっこいい!」


「惣領彪斗って、今すごい売れっ子作曲家の『A』でしょ?前雑誌で見たことある」



わーわー

みんな口々に叫んで大騒ぎだ。



小鳥たちもみんな逃げてしまったよ…。

みんな、ごめんね…。
< 203 / 269 >

この作品をシェア

pagetop