まどわせないで
「だいたいあなたみたいなたらしに、わたしのバージ……じゃない!」

 わたしはまだバージンなの? それともセカンド処女?

「と、とにかく! あなたみたいな遊び人の男に、わたしが体を預けると思ったら大間違いなんだから! わたしはもっと、紳士的で優しくて、いつもわたしにだけ微笑んでくれて、なんでもリードしてくれるような大人なひとが理想なんだから。あなたみたいな、地獄の大魔王みたいなデリカシーのない冷たい男はこっちから願い下げよ! そもそもわたしが―――」

「お前、話し長い」

 めんどくさそうに、わざとらしく顔をしかめて耳をかいている。

「ところでお前、いくつだ?」

「22歳だけど。文句ある!?」

 素直に答えてしまった小麦は、すぐに後悔することになる。
 陸が驚いた表情で、

「ってことは、俺の4つ下。22で、バージンなのか?」

「うっ……違う!」

 あれが1回に入るなら。小麦は大きく首を振る。
 顔を赤くして、全力で否定する姿をじっと見つめた陸はいった。

「バージン。めんどうな女」

「あなたにいわれたくなーい!」
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