まどわせないで
「してっ……ない」
欲情という言葉に焦った小麦が、慌てて言い返しそうになってから、それだと心の動揺がバレてしまうと、後半は平静を装おって返した。
陸は、小麦が顔をあげなくても、どんな状態かわかっているらしい。それはそうか。ヘッドホンをしている間、終始彼女のことを見ていたのだから。
ときに微笑み、激しくなっていく内容に驚き、濃厚なキス音にビクリと身を震わせ、意思と反して火照っていく体。水音が増し、喘ぐ声が激しくなると、まるで疑似体験をしているような気分に陥ったのか、僅かに開いた唇を震わせ、切なげな表情を浮かべて色気を漂わせた。
抗っても、耳から聞こえてくる淫靡な音は小麦を捉えて離さなかった。
蕾が開いて開化するように、普通の状態から、次第に女へと変貌を遂げる一部始終を客観的に見て、初めは興味から、次第に目が離せなくなり、心奪われた。
普段は全く色気もなにもない、女に。
熱を冷ましてと、懇願すればその熱を冷ましてやれるのに、いまは、元の自分に戻ろうと苦労しているようだ。
他の女なら、欲情に火照った体を喜んで差し出すだろう。そして陸は、喜んで差し出されたものを受けとる。
もっとも、今までは外見と声だけで、抱かれたいと近づいてくる女ばかりだった。
差し出されたものは受けとるが、見た目や声で簡単に落ちる女たちを、どこか冷静に見ている己がいるのもわかっている。
どうやら小麦は違うらしい。
面白いやつ。陸は内心、笑みを浮かべた。
気の進まなかった仕事も、小麦のおかげで楽しくやれた。大人女子向けシチュエーションCDとやらの効果も、わかることができた。
欲情という言葉に焦った小麦が、慌てて言い返しそうになってから、それだと心の動揺がバレてしまうと、後半は平静を装おって返した。
陸は、小麦が顔をあげなくても、どんな状態かわかっているらしい。それはそうか。ヘッドホンをしている間、終始彼女のことを見ていたのだから。
ときに微笑み、激しくなっていく内容に驚き、濃厚なキス音にビクリと身を震わせ、意思と反して火照っていく体。水音が増し、喘ぐ声が激しくなると、まるで疑似体験をしているような気分に陥ったのか、僅かに開いた唇を震わせ、切なげな表情を浮かべて色気を漂わせた。
抗っても、耳から聞こえてくる淫靡な音は小麦を捉えて離さなかった。
蕾が開いて開化するように、普通の状態から、次第に女へと変貌を遂げる一部始終を客観的に見て、初めは興味から、次第に目が離せなくなり、心奪われた。
普段は全く色気もなにもない、女に。
熱を冷ましてと、懇願すればその熱を冷ましてやれるのに、いまは、元の自分に戻ろうと苦労しているようだ。
他の女なら、欲情に火照った体を喜んで差し出すだろう。そして陸は、喜んで差し出されたものを受けとる。
もっとも、今までは外見と声だけで、抱かれたいと近づいてくる女ばかりだった。
差し出されたものは受けとるが、見た目や声で簡単に落ちる女たちを、どこか冷静に見ている己がいるのもわかっている。
どうやら小麦は違うらしい。
面白いやつ。陸は内心、笑みを浮かべた。
気の進まなかった仕事も、小麦のおかげで楽しくやれた。大人女子向けシチュエーションCDとやらの効果も、わかることができた。