わたし、式場予約しました!
 上司に連れられ、見合いの席に行った。

 見合いといっても、最近の、紹介に近いような、簡略的なものだった。

 お互いの親も来ないし、改まった格好で会うわけでもない。

 ……はずだった。

 ホテルの中庭で待っていた綾子は、きちんと着物を着ていた。

 それぞれを紹介した上司に、
「じゃあ」
とあっさり放り出されたあと、綾子は自分を真っ直ぐ見つめて言った。

「浜野和歩さん。
 初めまして。

 西島綾子です。
 初対面の方に、こんなことを頼むのは申し訳ないのですが。

 九月二十日に、私と結婚していただけませんか?」

 いや、見合いなんだから、初対面でおかしくないが、と思いながらも、なにがなんだかわからず、突っ立っていると、彼女は言った。

「ひとつ条件があるんです。
 海外挙式か、新婚旅行が海外でお願いします」
と。
< 153 / 203 >

この作品をシェア

pagetop