わたし、式場予約しました!
甘いものが食べたい……。
瑠可はふらふらしながら、夜の街を一人が駅へと向かっていた。
時折、足を止め、マッチ売りの少女のように、明るい店内を眺める。
ああ、私もあの中に入って、なんて読んだらいいのかわからないような名前のケーキを食べたい。
そう長くもないカタカナなのに、どこにどうアクセントを置いて読んだらいいのかわからない名前のケーキが最近、多い気がする。
だから、つい、あれください、とか言ってしまうのだ。
「瑠可さん?」
ふいに張りのある声で呼び止められ、瑠可は振り返った。
見ると、ワンピース姿の綾子が立っていた。
「なにしてらっしゃるんですか?」
と笑顔で訊いてくる。
いつか和歩が誰かと付き合ったり、結婚したりしたら、きっと自分は相手の女を正面から見ることもできないだろうと思っていたのに。
不思議に綾子のことは嫌いではなかった。
何故なのか、自分でもわからないのだが。
ボルタリングの帰りだと言うと、綾子は、
「まあ、素敵。
やっぱり、続けてるのね、瑠可さん。
私もやってみたいわ」
と言い出した。
「今度一緒に行きますか?」
と言うと、ぜひ、と微笑む。