吸血鬼の翼
ラゼキが光を宿した手の平が自分の目の前に向けられた美月は思わず、目を瞑る。
すると、美月の口から黒い霧状のものがラゼキの手の平に吸い寄せられていく。
何だろう、疲れが抜けていく様な感じ…
美月は不思議に思いながらも、その感覚を穏やかに受け付けていた。
やがて、黒い気体がラゼキの光によって球状に変わり納められる。
ソレを鷲掴むとガラスが割れる様な音が発せられ消滅した。
その瞬間、肩を震わせた美月は恐る恐る瞼を開いた。
「どうや、嬢ちゃん、楽になったやろ?」
「うん、嘘みたい…」
ラゼキに問われた美月は体を捻りながら、自身の健康状態を確認する。
気怠さや脱力感が取れて体が軽くなった。
どうやら、別状はなさそうだ。
これが魔法の力…
美月はただ驚くばかりで目を瞬かせた。
「ありがとう、ラゼキ」
「構わんよ」
素直に礼を言う美月にラゼキは笑顔で手の平を左右に振る。
ふと美月の視界にベッドに横になる佐々木が入った。
「佐々木君は大丈夫なのかな?」
「糸に縛られただけやから、大した事ないわ。直ぐに目を覚ますやろ」
「良かった。」
佐々木の様態を聞いた美月は胸を撫で下ろす。
そうしているのも束の間、先程バルノイズが言っていた内容が美月の脳裏に過ぎった。
然る者を探している。
“異世界の少女”
彼等はその為だけに千秋達、少女を誘拐していた。
千秋が攫われたという事はまだ“聖女”は見つかっていないのだ。
美月は躊躇いがちにラゼキへと視線を向ける。
そして、気になる事を伝える為に口を開いた。
「……まだ“聖女”は見つかってないのね。」
「そうや、探すのに手を焼いてな。何せ体に光を宿す少女だけじゃ分からんし…そんな時にこの廃ビルやろ」
ラゼキは片手で後頭部を荒く掻いた後、ベッドから立ち上がった。
すると、美月の口から黒い霧状のものがラゼキの手の平に吸い寄せられていく。
何だろう、疲れが抜けていく様な感じ…
美月は不思議に思いながらも、その感覚を穏やかに受け付けていた。
やがて、黒い気体がラゼキの光によって球状に変わり納められる。
ソレを鷲掴むとガラスが割れる様な音が発せられ消滅した。
その瞬間、肩を震わせた美月は恐る恐る瞼を開いた。
「どうや、嬢ちゃん、楽になったやろ?」
「うん、嘘みたい…」
ラゼキに問われた美月は体を捻りながら、自身の健康状態を確認する。
気怠さや脱力感が取れて体が軽くなった。
どうやら、別状はなさそうだ。
これが魔法の力…
美月はただ驚くばかりで目を瞬かせた。
「ありがとう、ラゼキ」
「構わんよ」
素直に礼を言う美月にラゼキは笑顔で手の平を左右に振る。
ふと美月の視界にベッドに横になる佐々木が入った。
「佐々木君は大丈夫なのかな?」
「糸に縛られただけやから、大した事ないわ。直ぐに目を覚ますやろ」
「良かった。」
佐々木の様態を聞いた美月は胸を撫で下ろす。
そうしているのも束の間、先程バルノイズが言っていた内容が美月の脳裏に過ぎった。
然る者を探している。
“異世界の少女”
彼等はその為だけに千秋達、少女を誘拐していた。
千秋が攫われたという事はまだ“聖女”は見つかっていないのだ。
美月は躊躇いがちにラゼキへと視線を向ける。
そして、気になる事を伝える為に口を開いた。
「……まだ“聖女”は見つかってないのね。」
「そうや、探すのに手を焼いてな。何せ体に光を宿す少女だけじゃ分からんし…そんな時にこの廃ビルやろ」
ラゼキは片手で後頭部を荒く掻いた後、ベッドから立ち上がった。