吸血鬼の翼
灰色の髪を靡かせ、漆黒のロングコートを纏った青年。
その青年の持つ淡い水色の瞳はイルトへと冷たい視線を送る。
「やっと見つけたぞ…吸血鬼。」
「お前は…!?」
───誰?
イルトの声と青年の声を聞いていると美月の視界が次第にぼんやりと薄れて来た。
───…もう、何も聞こえない…
雨は止む事も知らずに降り続ける―。
「……クラウ。」
「久しいな…探したぞ、吸血鬼。」
冷たい目でイルトを見下してクラウという青年は彼と再会を果たした。
更にその視線は美月へと向けられる。
「その女は何だ?」
「お前には関係ない…」
イルトは彼へと怒りの表情を露にした。
美月には瞼を閉ざし意識が戻る気配がない。
雨に降られ重くなった彼女の体を抱え、イルトはクラウへと手の平を伸ばす。
「…魔法弾でも出すつもりか」
「……わざとミヅキに当たる様に雷を落としたな。」
闇の色へと変化を遂げたイルトの瞳は彼の質問に答えず、確実にクラウの姿を捕らえる。
すると嘲笑う様にクラウの口元は歪んだ。
「よく分かってるじゃないか。その通りだ、吸血鬼」
「……。」
淡泊に答えたクラウに対して言葉を発さず、イルトの手の平には赤黒い光が発生した。