吸血鬼の翼



本当は誰にも知られたくなかった…


自分の“知ってる世界”はこんな姿を受け入れてくれる人なんて誰も居ないから。


「そうか…ガキ、お前も俺達の仲間だったのかよ」

「………。」

半獣人はイルトの羽を見て呆気にとられていたが、すぐに我に返り片方の口角を上げた。

この世界は大きく2つの種族に分かれている。

人間と半獣人──…

それは決して相容れる事はない。
お互いがお互いを忌み嫌う生き物。

それは己の身に染みてよく分かっていた。

苦しそうな表情のイルトに心情を察したのだろうか、ラゼキは慌てて彼に歩み寄る。

「……そんなん、関係ないわ!!おい、イルト下がれ!!」

「ラゼキ…」

「泣けるねぇ、友情かよ。そいつは俺達と何ら変わらねえ生き物なんだぜ?」

半獣人は挑発する様に嘲笑いながらラゼキに問う。イルトは俯いて、体を震わせた。

「ケッ…、どこが一緒なんや!?全然ちゃうやろ」

「ああ?」

口を尖らせて言葉にしたオレンジ髪の少年に対して、不快に感じた半獣人は真っ直ぐラゼキ目掛けて腕を伸ばし走り出した。

「ラゼキ!!!」

彼を守る為、イルトは半獣人の腕に噛み付いた。
案の定、半獣人は己にしがみ付いて来る少年を振り払おうとしている。
今の自分に出来る事なんてたかが知れている。
そう思いながらも、泣きながら半獣人の腕から振り落とされない様に必死に掴み、抵抗した。

「イルト!!避けろや!」

イルトが彼の大声に反応したその瞬間、ラゼキの手の平から光が発生し、その光は弾丸の様に放たれると半獣人の右足に見事ヒットした。
イルトは何とかギリギリのところで半獣人から飛び退いていた。

「チッ魔術師か!!」

命中した片足を引きずり、分が悪いと咄嗟に判断した半獣人は己が蹴破ったドアから退却しようと試みたが、それは叶わなかった。


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