お面妖狐



このまま見つかるとヤバいし、人間に化けとこう。



ポンッとまた人間の姿に化け、ため息をついて目を閉じた。






***






「やっぱり倒れるじゃないですか」


『…』


「高熱もあるんですから休んでください」





熱、あったんだ。


初めて知った。





「…そういえば。
このお面ってあなたのですか?」





総司が自分の頭についている狐のお面を指差した。





『なんで』


「同じ匂いがするからですよ」





お前は犬か。





『それはもう総司さんのでしょ。返してくれなくていいですから』


「じゃあ、やっぱりあなたのだったんですね。
…覚えがないんですよ。
あなたと会った覚えが…」





思い出そうとしても、無理。

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