約束、
電車に揺られる事1時間、やっとの事で埼玉に着いた。
「疲れた・・・。ここから高校まで後20分か。」
ここまで遠い所だと思わなかったあたしは、高校を埼玉にした事を少し、後悔した。
「20分、頑張るか・・・。」
ここまでして、嫌いな東京から離れたかった理由は、大好きだった彼、大地の死・・・。
まだ子供だったあたしには現実が受けいられなかった。
寂しさを紛らわすために友達と、毎日のように遊びほうけた。
何も知らなかった親は、変わり果てたあたしを沢山、怒鳴った。
親が言う事に耳を傾けず、変わらない日々を送った。
だけど、ある日、家に帰ると怒鳴り声が聞こえてきて、居間を覗いてみると両親共に泣いていた。母さんならまだしも父さんまでもが・・・。
あたしは、「親だけは、泣かせちゃダメだぞ! 約束な。」と大地と大切な約束した。 それなのに・・・
あたしは親を泣かせた・・・。
そしてその時、分かってしまった。
どんなに友達と遊んでも、何をしても大地はあたしの隣にいない。
大地が死んでから初めて現実が受け入れられた。その瞬間大地が死んだ今まで流した事がなかった涙がすごく溢れてきた。
大地は好きだけど、東京にいるのはつらいから埼玉の高校を目指す事にした。
必死になって、今まで遊んできた分の遅れを取り戻すために勉強した。 もとから、頭が良かったのか、まぐれだったのかすんなり今の高校に合格できた。
そして今日・・・大地との恋を無駄にしないため、この街で新たな人生をスタートさせる。
《もう、こんなに切ないなら恋はしない。》という思いを胸に・・・。
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