Love Place
私が感情を抑えることができるうちに帰ろうとすれば、渚は抱きしめる腕をさらに強めてきた。
「え……?」
「泊まれ」
「は?」
いきなりそんなこと言われても、出来るわけがない。
普通に考えてお泊まりセットなんて持ってきていないし、何より私がここに居たくない。
想いが溢れ出る前に家に帰りたい。
「俺酒飲んでるから送れねぇんだよ」
「そんなのいいよ。もう終電もないからタクシーで帰るし」
「いいから泊まれ」
「でもっ、」
「莉茉……」
私の名前を呼んだ瞬間、渚は寝てしまった。
渚はい一度寝ると起きない人だ。だから私はその間に帰ろうとして渚の腕から出ようとした。
でも寝ているはずなのに力は弱まっていなくて。
私はその腕から抜け出せなかった。
泊まる気なんてなかったのに、ここに泊まる以外手段はなくなってしまった。