Love Place


「もう帰るのか?」


「う、うん。よく考えたら私昨日お風呂も入ってないし化粧も落としてないから」


「そうか……。ありがとな」


「うん、こちらこそ!勝手に食材使ってごめんね。じゃあ」


そうしてドアを閉めた。


一度も振り返らずに。



もうこの感情には蓋をしよう。


渚のことをいい思い出に出来るまではなるべく会わないようにしなきゃ。


そう一人で考えながら家まで帰った。


渚の家から三十分ほどにある私の家が、今は居心地が悪いように感じてしまう。


それは単に、家が近いから渚と偶然会ってしまうというだけではなくて。


渚の暖かさを知ってしまった今、この一人だけの家は寂しいと感じてしまうのだ。


「ああ、なんかもう嫌だな……っ」


と無意識に出た言葉と共に、涙も出てきた。


こんなに泣いたのはいつぶりだろうか。


どうしても涙は止まらなくて。


その日は何もする気が起きず、ただお風呂に入ってからはずっとベッドに潜り込んでいた。



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