イジワル同期とルームシェア!?




マンスリーマンションとは便利なもので、家具家電はいっさいがっさいついているし、インターネット環境もばっちり。WiFiだって使える。
ワンルームだけど、私ひとりなら充分だ。南砂町の駅から徒歩5分。会社までのアクセスもいい。

元希の部屋からの引越しはとてもあっさりと済んでしまった。
流浪の身の荷物は、素人二人で運ぶには大変でも、引越し業者の手にかかれば秒殺。私は土曜の午後には元希の部屋を撤収した。

この日は東京湾の花火。
少し長引けば、元希の部屋から一緒に花火を眺められたかもしれない。でも、そんな都合のいいことは起こらないものだ。

私は作ってもらった合鍵をストラップごと返した。


『お邪魔しました』


『おう、またな』


元希は一度だって、引き止めるようなことは口にしなかった。

そうして、私と元希は、会社帰りに別れるくらい普通に別れたのだった。
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