つきあかり
「な、なに!?」
「……」
急に腕を掴んだからか、勢いよく振り返る千代とそれにつられて振り返ったユナ
俺は2人から視線を外して、頭をかきながらぼそりと口を動かした。
「…送ってく」
女に対してそんな言葉を吐いたことのない俺は恥ずかしくて死にそうだ。
「それは嬉しいけど、あたしとユナの家この場所から真反対」
「は?」
「ここに来るのは学校から一旦あたしの家に2人で寄ってから来たけど、帰るとなったら別よ。」
なんでこの千代ってやつはこんなにも上から目線なんだ。
「あー…お前から送ってく」
若干イラつきながらもめんどくさいから送るのいいかな、とか頭の片隅で思いながらも千代の家から送るのと言い放つ。
「あらそ、たくさん往復させちゃって悪いね」
口先だけのそれにまたイラつきながら俺は小さく舌打ちをした。