realize
「由紀さん、待たせちゃってゴメンね」

それから数分もしないうちに
翔大くんはスタッフルームに駆け込んできた。

「翔大!まだ話は終わってないわよ?!」

そのすぐ後ろから、
亜美香さんが追いかけるように着いてきた。

彼女の剣幕に少し困ったように笑いながら翔大くんは私にゴメンね、のポーズをとり亜美香さんに向き直った。


「わかってるって!」

そう言うと今度は少しボリュームをおとした声で、亜美香さんの耳元で何かを言っていた。

亜美香さんはその言葉で納得したようで
さっきよりも落ち着いた声で翔大くんに向かってハッキリとこう言った。


「わかった。待ってるから早く帰ってきてね。」


…やっぱり付き合ってるんだ。


…ズキッ。


< 71 / 118 >

この作品をシェア

pagetop