realize
水槽越しに翔大くんが近づいて来るのが解った。

ディスプレイ状の薄型の水槽を挟んで向かい合ってる。

水槽を挟んでも会話ができるくらい
声はよく聞こえた。

「コイツ、俺んちにも一匹いるよ」

私と目線を合わせようとしてか
少し屈んだ体勢から、目の前の
小さいブルーの魚を指してそう言った。

「ここで買ったの?」

お互いに聞きたいこと、言いたいことは
他にもっとあるような気がしたのに
私たちはこの他愛もない会話を続けていた。

「そう!コイツが一番可愛いよ♪」

ねぇ、翔大くん、本当に話したいことは違うよね?

「ちゃんと餌とか世話できてるの?」

ねぇ、私はもしかしたら…


「ねぇ、由紀さん、俺のこと好き?」


< 79 / 118 >

この作品をシェア

pagetop