きみが死ぬまでそばにいる
対する
 
 血の繋がった姉弟でありながら、求め合う。禁忌に手を染めたわたしたちの罪が、一度きりの過ちで終わることは当然なかった。
 誰の咎めもないのをいいことに、わたしたちは学校が終わると人目を忍んでホテルに通った。それは本当に依存性のある毒のようで、囚われ、溺れ、次第に抜け出し方が分からなくなっていった。

 ――だって、好きな人と身体を合わせることが、こんなにも満たされることだなんて知らなかった。

 彼の熱が、わたしに触れる。交わりあう。それだけのことなのに、自分が自分でなくなってしまったみたいだった。目の前の彼のこと以外は、何も、考えられない……



 快楽の瞬間は、本当に幸せだった。理性をどこかに置き忘れ、夢の中にいるような気分。
 ただし――ひとたびそれが覚めれば、一気に現実世界へと引き戻された。

「……ごめんね」
「どうして謝るんですか?」

 行為の後、ベッドの中で囁くわたしを、陸は軽く笑って腕の中に引き寄せる。

「だって、最近お母さまと口も聞いてないんでしょう? 今更だけど、わたしはきみの家族を壊してしまったんだと思って……」
 
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